20200415 コロナ対応 分析と対応策 教育関係

Ⅰ、課題
1、人との関わりがとれない。
2、時間にメリハリやリズムがなくなるのでだらけてしまう。
3、オンライン教材・授業動画には限界があり、飽きてしまう。(※8 リンク集)
4、オンライン授業を実施するまでのハードルが高い。
 
 
Ⅱ、分析
学校の機能を分析してみると
1、さまざまな人間との、いろいろな交流を通して、その人にとって適切な人間関係を作る力を養う場
3、学習指導要領に定められた学習 ※1
という役割を担っている。上記3つの観点から解決策を考えた。
 
 
Ⅲ、解決策
1、スケジュールと学習計画の提供
通常の学校のような過密スケジュールは必要ないが、1コマ40分〜50分 午前3コマ 午後探求活動1時間 とかで提案する。
これに過度に縛られる必要はないが、何も指針がないと、逆に不自由するというのが人間の面白いところ。
蟲師」より ギンコ「”ただ生きる”ために生きてるぶんには余暇ってもんがないからな」
銀魂」より マダオ休みというものは生活の基盤たる労働活動 義務を果たして初めて存在できる 休みだけあってもそれは休みにはならないんだよ」
 
 これと合わせて、教科書の読み進めるページ数を提案する。
 例えば、
「5月6日までに○ページまで読むのが目標です。そうすると1日○ページは読みましょう。土日は休んでOK」みたいな
 
オンラインサービスとしては「みんなのオンライン教室(仮)」
 
教科書については速やかに給付するようにと通知にあるので、プリントなどの課題も、分散登校や、保護者が取りに来るなどの対応を考えることは可能である。実際、小学校では、保護者が始業式などの配布物を取りにいくということもされている。
 
提供する課題についても、ドリル形式では限界が来る可能性が高い。
動画教材を休校中に手分けして精選することで、学習計画に盛り込むことができる。実践している小学校の話を聞いたので、やっているところはある。
 
課題の出し方に工夫ができる。
例えば
「学校再開が以下のそれぞれの場合、考えうる問題と、その解決策を考えよう。
ア)5月再開
イ)9月再開
ウ)再開不可
また、再開時期を根拠を明確にして予測しよう。」
他にも、生活実感に即して課題を提供することもできる。値段の割引や、夕焼けがなぜ赤いかとか。
発達段階に沿って教員やそれ以外の大人がデザインすることはできるのではないだろうか。
家庭の中でオンライン会議などがある場合、絶好の「職場見学」の機会となる。
詳しくは「臨時休校中の「探求×キャリア教育×ふるさと教育」 https://taro4031.jimdofree.com/2020041301/ 」
 
 
2、チャット質問コーナー
 発達段階によるが、オンラインコミュニケーションの利用頻度について
  文字チャット>音声チャット>>ビデオチャット
という印象を受ける。電話で質問を受けるというのは非現実的だが、掲示板などで文字に残しながら質問を受ければ、同じ質問を持っている生徒も参照ができる。yahoo知恵袋的なものを利用しても良いかもしれない。
 1の学習計画の提供と抱き合わせると効果的
 掲示板などでのやりとりは、顔が見えない難しさはあるが、人との交流を提供してくれる効果も期待できる。
 
 
3、再開可能性とオンライン授業への備え
 文科省は「学校とタブレットを繋いで授業をやるのは現実的に不可能」と思っている。一方で、ICTの活用で授業の遅れを最小限に留めたい考え。(※2)
1)短期的な課題 
 ①パソコン・タブレットがない家庭の問題(※2)
  ア)すでに予算措置がされており、各自治体が判断すれば購入できる。
  イ)全家庭に平等配布ではなく、各自治体が調査し、無い家庭に配布という考え方。
  ウ)Wi-fi環境は文科省借り上げのモバイルルーターで対応
  エ)キャリア大手3社は25歳以下の利用者に50ギガ解放 夏まで
 
 ②学校の通信インフラ(※2)
  高速大容量のインフラ整備を、子どもがいないうちに工事しようと思っている。
 
 ③オンライン機器があっても使えない
  N中等部の実践参照 https://n-jr.jp/news/archives/280.html
  ただし、zoomのセキュリティー上の問題が発生したため、アプリの検討が必要
  他にオンライン授業を行なっているのは参考欄参照 ※4 実践の共有と研修資料などを公開してほしい。
 
 文科省は政府の発表に基づいて通知を出す。つまり、5月再開の路線での対策を出していると考えるのが妥当である。なので、休業中の家庭学習やオンライン学習も要件をクリアすれば、対面指導しないでも良いと言っている。※3
<要件>
1 教科等の指導計画に照らして適切に位置付くものであること。
2 教師が当該家庭学習における児童生徒の学習状況及び成果を適切に把握することが可能であること。
 
 通知文※3 動画※2 を見て感じたのは、「紙ベースの指導が中心、ICTは補助」という印象。
 災害時だからこそ、普段慣れ親しんだことの方がやりやすい。食べ慣れていない乾パンなどより、ビスコカップヌードルを備蓄するのに似ている。
 
 
2)中期的な課題
 5月7日に再開できないことも見込んでのインフラ整備を文科は行なっているとも取れる。通知※3では、児童・生徒・教職員に過度な負担をかけることは避けるべきと、明言されている。ただ、動画・通知からは、「とにかく今年度の教育課程の履修は何とかしてくれ」というメッセージを強く感じる。つまり、教育課程を間引くことなく、対応するというのも十分考えられる。(マジでやめてほしいけどねww)
 ここから考えられる対策は
①オンライン授業の教員研修
②オンラインのみでの効果的な授業方法の模索 先行事例研究
③オンライン授業の段階的な実施
が挙げられる。
①では上述したN中等部のサイトなどを使い、実際に触りまくった方が良い。まずは有志の教員同士でやれる。
②これはオンライン授業をすでにしている私立・自治体(※4)、他国の事例が新たな発想をくれる。
 特に、他国の事例は「Manabie 各国の休校措置の現状と出口戦略」(※5)が詳しい。
 
 実際にアメリカの公立小学校に2年生を通わせている人の話を聞いたので、以下にまとめる。
 ○課題が大量にでる。
  ・Google classroom に全ての課題がアップされる。(パワポに音声つけた教員自作のものや、映像資料)
  ・問題を解いたり、感想を述べる。これらをやるために複数のアプリを使用する。
  ・スライドに写真などを入れて説明するような課題もある。
 ○各教科について
  ・算数 問題の解き方をスライドに書き込んで説明を録音
  ・理科 映像資料を見て質問に答える。どれが一番気に入ったか3つの理由とともに映像に録画してアップする。
  ・音読 読んでいるところを録画 読解問題を解き、答えをアップ
  ・筆記(フォニックス) 教員がスライドで説明し、ワークブックで問題を解く。
  ・学校独自科目(Design thinking) 外出禁止生活で困っていることを家族にインタビューし改善策を提案し、結果を発表。
  ・発表練習のために、質問に答えて理由を話す。
 ○ゲームもある
  ・「こんなことしてみよう」ビンゴシートが送られてきて、やった感想などをアップする。
 ○課題ではないが、おもしろい格好したりする文化があり、それを録画してアップロードして遊んだりする。
 ○上記のものは、コメント欄やいいねボタンがついている。
 
 Google classroom のようなアプリを「ラーニング管理システム」(LMS)と呼び、他にも「スクールタクト」「ClassIn」「Microsoft Teams」がある。
 
 この環境で授業ができるかどうかは、地域格差や、教員の金銭的な面も含めた裁量権の問題もかなり影響することを付け加えておく。
 Edtech先進国の中国でもコンピューター保有世帯は全体の71%である。韓国は「デジタル疎外層」への支援を強化し32万1千台を行政が貸し出した。先進国も最初からインフラが整備されていたわけではなく、0からスタートしたことがわかる。スタートさせたのが早いか遅いかの違い。
 先に進めばわかることもあり、韓国では聴覚障害視覚障害を持つ者への支援にもすでに乗り出している。(※6)
 先行事例がこれだけあるので、日本の強みを活かしていけるチャンスである。
 
③について、辻さやかさんの記事のアイデアはわかりやすい。ビデオチャットツールで
 レベル1 出欠・健康観察
 レベル2 児童生徒に今日の計画を聞く
 レベル3 課題の質問タイム
 レベル4 一緒に教科書を読んだりする
 レベル5 動画やスライドの利用
これは8名ぐらいまでならやりやすい。
特に、顔が見える状態で話すということに社会全体が飢えているだろうから、時間と場所を設けても良いかと思う。
②でみたようなEdtech先進事例を考えると、今までやってきた授業の形を問い直して、再構築する必要がある。
 
zoomを使ってみて思ったのは
 ・同時に喋れない 例、コップを置く音が入るだけで話し手の音量が下がる。
 ・視線が不自由
ということ。平時の授業をそのままzoomでやるのは至難。5Gの実装でどうなるかという感じ。
なので、
・発問の時間
・課題をやる時間
・発表する時間
・話し合う時間
・解説を聞く時間
などのメリハリの付け方が、平時の授業の感覚とかなり違う。
しかし、裏を返せば、この感覚を掴んでしまえば、できるということ。先進事例があることが何よりの証左である。
 
 
3)長期的な課題
現在は緊急事態である。しかし、他の緊急事態が重ねて起こらないとは言えない。
・台風などの気象災害
そして、
・新たな病気の蔓延や、コロナウィルスのワクチン耐性獲得
などが挙げられる。(ワクチンについてはアビガン、イベルメクチン※7)
 
この場合、既存の学校教育の再開は不可能になる。再開見通しが立たない。
 
むしろ、この状況への対応を意識して、上述してきた中期的な課題までの対策を進める必要がある。
現場教員としてできることは、オンライン環境への慣れと実践を積み重ねて、「日本式のオンライン授業」のノウハウを溜めていくこと。
 
一方で、オンライン授業による迫害が起こらないように配慮することも出てくるが、これは、既存の教育の中でも領域が変わるだけで同じことが言える。
 
 
○おわりに
 いろいろな方から集めた情報がなければここまでのことは分からなかったと思う。ご協力いただいた一人一人の名前を挙げることはしないけども、本当に感謝の言葉しかない。参考例は下記に全てまとめた。
 
 多くの現場では「教育の平等性」が足かせになっているかと思う。
これの根本原因は「あいつだけずるい!」っていう声に応えられないことである。
 
「被災地に届いた毛布が全員に配れないという理由で、一枚も配られなかった」というのが平等性のヤバいところだと私は思う。
優先順位を決めて利用したり、順番に利用したり、そのまま使えば配れないけど全員が恩恵に預かれるような使い方を考えたり、ここが現場の知恵の見せ所ではないだろうか。
 たしかに世の中、善意や誠意だけでは回らない。それでも知恵を出し合うことで、互いを活かし合うことができる。人間は「社会」を生存戦略にしてきた。今回もやることは変わらない。
 
「世のため人のためにやれることをやり続ける。」
 
ただそれだけではないだろうか。
 
 
 
参考
※1 Manabie 学校のオンライ化に必要なツールのご紹介 https://note.com/manabie_official/n/nda39e6d49ca7?magazine_key=m937cdc9146fc
 
 
※3 新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い 学校に登校できない児童生徒の学習指導について(通知)  https://www.mext.go.jp/content/20200410-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf
 
※4 オンライン授業実施
佼成学園中学校・高等学校 https://ict-enews.net/2020/04/13kosei/
都立白鴎高等学校・附属中学校 https://resemom.jp/article/2020/04/10/55759.html
 
※5 Manabie 各国の休校措置の現状と出口戦略
 
※6 Manabie 中国・韓国の休校事情とそれに伴うオンライン教育の活用 https://note.com/manabie_official/n/n54fb22f0be27?magazine_key=m937cdc9146fc
 
 
※8 
小学校
中学校
 
○授業動画を上げている
eboard
シリーズホントにわかる
とある男が授業をしてみた
福岡市の無料公開授業
NHK for school
 
○休校サポート
タンキュークエス
 
○教職員支援
教職員の学び応援ページ