20200513 zoom質問教室実現へ 経緯共有

zoomによる質問教室を実施できることとなった。
実施に至るまでの流れ、課題などを整理してまとめる。
 
 
○実施に至るまでのハードル
 
1、zoomの技術面における理解
2、運用方法
3、職場の理解
4、管理職の理解
5、企画会議または運営委員会での了承
6−1、区市町村教委の理解
6−2、区市町村教委を経由しない実施方法の提案
6−3、市区町村教委への対応 禁じ手編
7、今後の展望
 
 
 

1、2までは1人での作業で終わる。以下に資料を公開している。作成にあたっては様々な方の協力があった。ありがとうございます。

※20200429 ICT提案 書面データ

https://drive.google.com/drive/folders/1t64RLqwHdNu_VrmN_SMCp5J0YSdLyo0s?fbclid=IwAR2QxADLTum5xn9zil3XS394k-ywLfHuYKuprdLF7EIDSS8swhhT9Rplh8I

※20200502 zoom使用許可を求めるプレゼンhttps://kyouikuidea.hateblo.jp/entry/2020/05/02/145847

 
 
 
3、職場の理解
ICTが使えそうな教員に声をかけ、zoomによる「飲み会」「ちょっと触ってみる会」をゆるめに開催。
最初は、3人ぐらいに声をかけて、ただの雑談
→「やれるならあった方がいいよね」となる。
→職場の連絡先を知っている人で「飲み会的な触る会」企画
→10人ぐらい来て機能紹介
 
10人ぐらいになると、zoomで機能紹介だけするのはかなり暇な感じなった。
せっかく来てくれたのに、正直失敗した。
 
質問をあらかじめ作っておいて、それを使いながら機能の説明などをしていく方が有意義だったかと思う。例えば、
・夜ご飯 何食べました?
・自宅勤務中に何やってました?
・外出禁止ですけど、どんなことして息抜きしてます?
・学校6月から再開しますかね?どんな形で営業していきますかね?
・9月開始説どう思います?
など
チャットやブレイクアウトルームを使って意見を集めたり、ミュート機能を使ったりして感覚を掴んでもらいやすくなりそう。
次回やるとすれば、質問を準備してのぞむ予定。
職員同士で盛り上がりそうなことがあれば教えて欲しい。
 
 
 
4、管理職の理解
1、2の資料を中心に、
 
「任意のできる人がやる形で実践をためていく」
「試験運用としていつでも中止できる形をとる」
 
というコンセプトを明確に伝える。
考えられるリスクのうち、
「顔を含む個人情報の流出」
が1番のネックとなるが、
「同意事項の明記」「情報リテラシー教材として活用」
という案に加え、「いつでも中止できる」というラインで話をすすめられた。
さらに、管理職に実際に使ってもらって、簡単にいくことを理解してもらう。
実際、校長にzoomのダウンロードから、ミーティングまでをやってもらった。5分もかからない。
現場でも、この前使ってみたことも伝えたことで、
「やれる範囲でやりましょう。」
となる。
 
 
 
5、企画会議または運営委員会での了承
3、4の手順を踏んでいるので、
 
「できる人からやる。」
「試験運用としていつでも中止できる形をとる」
 
というラインで話して、難なく通過した。
管理職以外に2名ぐらい肯定的な人がいると楽。事前に説明したり、使ってもらったりする方が良い。
 
 
 
6−1、区市町村教委の理解
実は上記5まで、5月の早い段階で到達していた。
現場職員との話し合いの中で
「パソコン室のタブレットを各学年1台ずつ用意して質問教室を行う。」
という方向で内容も固まり、あとは、タブレットの整備とまでになった。
 
結果として、これがまずかった。
 
パソコン室のタブレットにzoomをインストールするために、役所の担当者と話をしたが、許可が降りない。
誰が決済すればインストールできるのかを担当者に確認し、部長と教育長を説得すれば良いと言うことを話してくれた。
プレゼン資料を送り、
「いつでもプレゼンする用意がある。むしろ、現場から上がってきたこの案を通さなかった場合の方が、リスクが大きくなる。」
この旨をつたえる。
その後、担当者から「指導課預かりとなった。」旨を連絡いただく。私の個人用携帯番号も伝えておいた。
 
しかし、指導課預かりとなってから反応はなくなった。
正直、「もはやここまでか・・・」という思いだった。
指導課は授業動画作りに邁進して現場の意見を聞いてる暇はないのだろう。
しかし問題の本丸は「双方向性」である。
そのことを理解してもらうためにアプローチしたが、現場には
「教委から授業動画作るというのがきました。作ってもいいって人は私まで声かけてください。」
という副校長の声。
その後、副校長に
「教委には、資料も渡して、プレゼンの準備もして、いつでも説明しにいくとまで言ったのに、授業動画云々というのはあんまりだ!」
と伝えた。管理職にではなく、教委にブチ切れているとも。
文科省の動画を見て怒りはさらに加速した。
 
今、冷静に考えれば、一現場の平社員の意見など取り合っていたら、行政は身動きが取れなくなることは十分わかる。
授業動画云々の話も随分前から凛義した結果、たまたまこのタイミングで降りてきた可能性の方が高い。
 
一番エグいリスクを背負うのは間違いなく学校直上の教委だ。
責任社会・地域社会崩壊の2つは、破壊的クレーマーを産み出した。
ただでさえ人も時間もない教育業界は、破壊的クレーマーが数人いれば壊滅的なダメージを受ける。
これはエゲツないほどの恐怖である。
こちら側から見れば破壊的クレーマーだが、当の本人にしてみれば自分は「一人で権力に立ち向かう正義の人」なわけで、体制側は「税金もらって働かない悪人」である。
どちらの見方が正しいと言うことはない。
正義の反対は別の正義という話なだけ。
それぞれの切迫した事情と、自分以外の事情を完全には理解できないということが根本にある。
この問題については別の記事に譲るとする。
 
 
学校が設定していた登校日に指導課長が視察にくるという話を校長からもらっていたので、そこに突撃して話すのが最後のチャンスだった。
しかし、登校日は当然忙しかったので、話すことはできず。
 
万策尽きた。
 
ここで、思索したのがのちに紹介する「禁じ手編」である。
 
 
ところが、光明が突然差し込む。
 
登校日の際に、校長から指導課に話をしてくれていた。
指導課は全てを理解できないので、
「学校の独自運用」
「いつでも校長判断で中止」
という形で話をまとめてくれた。
自分以外の人のリスクを理解できなくても引き受ける行政職、行政職と現場の調整と着陸地点を設計してリスクに対処する管理職、この人たちは本当にすごいと思った。
 
 
 
6−2、区市町村教委を経由しない実施方法の提案
なんとかスタートまで漕ぎ着けたが、正直なところかなりの労力を要している。
なので、ここまでの経験を踏まえてよりコスパの良い方法での実施方法を提案したいと思う。
 
労力は以下の数値に比例して大きくなる。
 
・影響が及ぶ人数
 
なので、影響が及ぶ人数を小さくすれば労力は小さくて済む。
一番簡単なのは、学校機材を使わずに、手持ちの私用機材を使って進める方法である。対象児童・生徒も任意とする。
これなら、2つの条件
 
1、対象任意の試験運用
2、いつでも中止
 
をつけて、1人からスタートできる。
1人が実際に運用しているところを現場教員が見て実践が広がっていく方が、進みやすい道かと考える。
既成事実を作ってから追認する方が責任者としてもやりやすいと推測できる。
 
この形は、今後、いろいろなアイデアを試行錯誤するときの1つのモデルケースにもなる。
「全員同じ足並みで」が是の学校文化において、試行錯誤の条件は役立てられそうである。(といっても時間的・心理的制約の方が大きくて難しくなるだろうが・・・)
 
 
 
6−3、市区町村教委への対応 禁じ手編
ここで紹介する方法は題名通り「禁じ手」である。
「基本的に、これらはやめた方がいい」と主張するために書いておく。
いずれの方法も「敵を作りあげる。」という決定的な問題を孕む。
 
1、文部科学省への告発
2、マスコミへのリーク
3、保護者を騙って役所へメール
 
1、文部科学省への告発
文科省から強いメッセージが発信された。
文科省に直接電話して
「動画のことを全く理解していない教委のせいで実施できない。」
ということを伝える。メールでもよい。
いずれにしても、きちんと準備してきた書類データを送れるようにしておく。
あくまで、「1、試験運用 2、いつでも中止」のラインだけでも通して欲しいという感じにしておく。
 
○問題点
場合によっては、管理職、市区町村教委、都道府県教委の3つの組織を飛び越える行為
報復人事の可能性
実施に漕ぎ着けたとしても上記3職からの積極的な協力が得られなくなる可能性
現場・文科vs上記3職 という構図を作る
教員として働いていく以上、やったことはついて回り、今後協力を得にくくなる。
 
したがって、長期的な展望に基づけば、良案とは言い難い。
 
 
2、マスコミへのリーク
大手新聞社・ニュースサイトに現場からのアイデアが潰されているという旨で記事にしてもらう。
休校期間中の対応に批判的な記事を書いている媒体へアクセスすれば話を聞いてもらえるかもしれない。
 
○問題点
過剰な世論扇動を起こす可能性がある。
世論vs日本公教育 の構図を作る。
今後の学校運営へのさらなる信用失墜
不可逆的かつ、場合によっては壊滅的なダメージを公教育に与える。
それぞれの事情を理解するという活路が塞がれる。
こういうことをやる人というのは一生ついて回り、今後協力を得にくくなる。
 
したがって、中長期的な展望に基づけば、良案とは言い難い。
 
 
3、保護者を騙って役所へメール
勤務校の保護者を騙って役所の指導課へメールをする。
フリーメールアドレスを10個ぐらい取得して、似たような文面を準備すれば実行可能。
のべ回数で50回を超えたあたりで、マスコミへのリークとの合わせ技で無理やり動かす。
 
○問題点
嘘をつくのは人としてどうなのかという良心の呵責
良いことならば何をしてもいいのかという道徳上の問題
仮に動いたとして、多くの人の要望を反映した行動といえるのか確認不能
こういうことをやる人というのは一生ついて回り、今後協力を得にくくなる。
 
したがって、短期中期長期いずれで見ても良案とは言い難い。
保護者が建設的な議論に参加できる仕組みが欲しけれは、PTAのオンライン会議開催の提案で十分である。
 
 
以上、正義に駆り立てられた「徳の騎士」が思いつきそうなことを書いてみた。
むかつく気持ちは十二分に理解する。
おそらくもっといろいろな案を考えられる人は多数いると思う。
でも、そういう気持ちのある人、こういうことを考える人だからこそ、今後のために禁じ手を取らないで欲しいと切に願う。
ぜひ、その能力を世のため人のために使ってほしい。冷静になれば長期的な展望、他者の事情はすぐに見えるはずだ。
他者の事情は絶対的に理解できないことを許容した上で、それでも信頼関係を目指して思考を進めてもらいたい。
他者を動かすことは無理な話である。他者は望むように変えられない。
だから、そこに思考を割くのではなく、自分が動く方向で思考してみて欲しいと思う。
 
 
 
7、今後の展望
zoomによる質問教室が実施できることになり、以下の書類を準備する必要がある。
 
1、校内向け実施要項
2、保護者向け通知 HP掲載
3、zoom使用の手引き書
 
いずれも以下をベースに作ればいける。
※20200429 ICT提案 書面データ
 
まずはできる人から取り組んで実践を徐々に広げながら蓄積する。
新しいツールは新しいアイデア創発する。抵抗感が低くなれば色々出てくるだろう。
その際、アイデア実施の2条件
 
1、対象任意の試験運用
2、いつでも中止
 
をもとにして有意義な試行錯誤が行われることを期待する。