20200529 zoom質問教室 インフラ整備〜実施・応用まで

先日、zoomの使用許可がおりたのをうけて、この記事では以下の内容について書いておく。
1、PC室の機材への実装について
2、初実施
3、校内への広がり
4、応用可能性
5、応用につながる3つの特性
 
1、PC室の機材への実装について
許可が下りたので、役所の担当者と、タブレットのリース会社の担当者2人が来校する。
 
役所の担当者とは何度もやりとりをしていたの、初めてあった感じがせず。
こんなご時世だとは分かりつつも、握手を求めずにはいられなかった。
 
話をする中で、GIGAスクールのことに話題がいく。
文科省が予算をとっているから、あとは買うだけだと思っていたが、話はそんなにうまくなかった。
私の勤務する自治体では、機材費の3分の2までは充当があるが
・機材費の3分の1
・回線の整備
については自治体から拠出するとのこと。これから前倒しで進めるのはいいが、お金の出どころが悩みの種らしい。
 
「学校にある校内LANに私用機材」を繋ぐというアイデアについても話した。
個人的には、学校の機材にアプリをインストールするよりも、パスワードを知らせるだけだから簡単かと考えていた。
しかしながら、契約内容上、1機材に1アカウントという制約になっているようで、技術的というより、法律的に難しいとのこと。
また、機材のリース会社と、回線の会社が違うというのもネックだった。
結果として、今回は機材への実装の方が良いと考えてくれた。
 
本当に、担当者じゃないとわからない領域は多い。
それが組織で仕事をする強みなんだと、肌感覚で実感する。
 
PC室へのzoom実装はリース会社の担当者2人がやってくれた。
私はその場にずっとはいなかったが、セキュリティーの問題や、zoomがMicrosoft edgeではブラウザ起動しないことなどに、相当手間取っていた。(※ブラウザ起動→ウェブサイトを見る感覚で、zoomのアプリをインストールしないでも使える起動方法のこと)
Google Chromeでは起動できたようで、何とかかんとか全てのタブレットにインストールしてくれた。
合わせて、6台のタブレットにZoomのアプリもインストールし、各学年で2台ずつアプリで使用できることとなった。
1台は教員を、1台は板書などを映すイメージでやりたいこと、学校の運用条件などを加味して、柔軟に対応してくれた。
 
以下の点が、機材関係で上がった主な問題点だった。機材屋さんからすればサービス対象外だが、親身に相談に乗ってくれた。
ア)Zoomの会議IDが毎回変わってしまう問題
  →パーソナルIDを使っての会議開催で解決。
イ)パソコンの再起動で、設定がどこまで戻るかの確認
  →アプリの設定は初期化される。zoom社のホームページからサインインした設定は保存される。
   ブレイクアウトルームの設定はホームページから行うので一度やれば保存されていた。
  ※不特定多数が関わる機材は初期化される設定が大抵入っているので、確認しておいて損はないと考える。
 
いよいよ、準備が整った。
 
 
2、初実施
Zoom質問教室の前日
帰りの電車の中で「Zoomによる質問教室について」の一斉メールが届く。
瞳孔が開いて背筋にゾクゾクするものが走った。なんとかここまできたという達成感。
 
参加しやすいように14時ごろから設定した。
 
初参加の人は1人!
本校で初のオンライン教室参加者となることを彼にも伝えた。
もともと学習塾から大きく遅れをとっていたので、誰もこないことも予想していたから万々歳。
 
「教科書のこの問題が分からない」というのをホワイトボードを映しながら解説。
実に2ヶ月以上ぶりに、教師らしい講義をすることになった。
 
「分からない人に分かるように教える。」
教師の一番基本的な仕事だ。
 
2つの応用問題と、それにまつわるポイントを解説し、彼は「俺的には来てよかったです。」と言ってくれた。(まぁお世辞ってこともあるけどね。)
 
翌日の質問教室も彼だけの参加。途中、課題の内容についての質問に1人来るぐらいだった。
 
 
3、校内への広がり
その後、家庭への電話連絡を経て、
・生活習慣の崩れ
・学習機会の減少
という問題意識が多く寄せられた。
そこで、質問教室という形から「オンライン朝の会兼自習教室」という形で朝8:30から行う方向で動く。
 
今回から協力者を募集し、徐々に使える人を増やしていく。あくまで「任意」ということに拘った。
その結果、合計5名の協力者を得る。
各学年2名ずついたので、各学年での実施が可能となった。
 
今回も参加者は「希望のある人」とし「試験的運用」を明記した。
先行実施を私のいる3年で行い、それの感じを受けて他学年ができるようにスケジューリング。
 
結果、参加者は15名ほどとなった。
・アイスブレーク
・おしゃべり
・午前中の予定をチャットで共有
これらをして、13時から再度集まり、午前の様子を共有してもらうようにした。
 
これだけのことだが、コミュニケーションがあることは良かった様子。
必要のない生徒は参加しなかったり、途中退室したりした。この自由さが一番大切かなと思う。
 
なんだかんだあって「行事」について話し合った。
今後の行事がどうなるか分からないなか、「そもそも行事ってどういう意味があったのか?」ということを思い思いに話す。
翌日は、この問いについて、職員室にいる先生も数名巻き込んで生徒と対話が行われた。
暫定的なところとして
「難しい状態を、みんなでなんとかして乗り越えること」
「その過程で、いろんな関係がうまれること」
という感じだった。
このコロナという状況がすでに「難しい状態」なので、アイデア次第で活用に道がありそう。
 
他学年も含め使い慣れてないため、
ブレイクアウトルームを終了したかったのに、間違えてミーティングを終了する。
・パーソナルIDで入らずに新規ミーティングで入る。
・普段の教室のノリでいくと、うまくいかない
などの失敗があった。
会話のタイムラグ、チャットの使い方、操作中のシーンとする時間、ブレイクアウトの班分けなどなど
使うといろいろと課題は出てくるが、これは初任者のときと同じ。
試験運用を銘打っているので、失敗を許容しやすい。教員が失敗するところを見せ、失敗した人に対する対応も学んでいける。
新しい道具は新しいアイデアを作り出す。このことの恩恵の方がでかい。各先生や私からの具体的なアイデアは4で。
 
 
4、応用可能性
ア)不登校生徒への対応
「学校は行けないが、zoomならやれる。」という生徒が出てきたことで、対応。
 
イ)グループ活動の実施
リアルでの対面が禁止となると、zoomの方がよほどグループ活動ができる。
zoomで生徒と意見交換する会を定期的に開催する方向で学年では話がまとまる。
コロナの影響で部活の活動が制限されるため、逆に教員にも生徒にも時間ができる。
皮肉なことに教育の本来的な活動が行いやすくなる。
 
ウ)オンライン保護者会への活用
3密を避ける上で有効な手段。また、どこからでも参加できるので退勤直後や、1時間休などでも対応できる。
 
エ)音読のトレーニン
口元がわかり音声のやりとりもできる。
 
オ)自習中心の関心に応じた部屋班づくり
ホストが部屋を作り質問を教えあったりできる。
この辺は、全員ホストにするという案で、より自由にできる。ホストはできることが多いので、リスクと天秤にかける必要がある。
 
 
5、応用につながる3つの特性
 
1)場所不問
2)指向性対話
3)対等性
 
以上の3つの特性が強みとなりそうである。
1)は説明省略
2)指向性対話
会話やチャットにラグがかかりやすいため、雑談のような速い反応が求められるものは使いずらい。
反面、考える時間や目的を持って話を聞くには使いやすい。質問に受け答えしていく形だとテンポが作りやすいので、雑談もやれないことはない。
新しいタイプの雑談になっていくのかな。
3)対等性
ギャラリービューを使うと、先生も生徒も全員が同じサイズの四角で出てくる。
リアルであれば体の大きさから視線から姿勢、何から何まで違うが、Zoomではかなり均質化される。
やり取りするのは映像と音声とテキストのみとなる。
空気感とかは感じにくい。
この手のツールを使ったコミュニケーションなら得意という人がでてきそう。
新たなタイプの疎外も起こりそう。
 
 
 
○おわりに
何でも誰か1人の動機から始まる。
 
公教育などの大きい組織では、その1人が小さすぎたり、無力に感じたりする。
そのため身動きが取れなかったり、無力感を感じたりして諦める。
 
動機を実現させるまでの基本的な考え方が分かれば、そうはならない。
 
ここまで書いてきたことは具体的な内容の共有だったので、次回書くことがあれば、「基本的な考え方」をまとめていこうと思う。